Vision
私が大切にしているのは、「建築への深い敬意」と、写真を通じて美しい建築の「新たな解釈を提供したいという想い」です。単に建物を記録するのではなく、クライアントの方々の技術や哲学、多様なライフスタイルや文化、地域のコミュニティや環境との関わり、そしてそこで過ごす人たちの温かな物語を、一枚の写真に込めたいと思っています。
絵画を描くように、私は光と影、色彩、リズム、質感、そしてデザインや構図のひとつひとつをよく観察し、その空間の持つ本質的な美しさを深く理解しようとすることに時間を惜しみません。この一枚の写真が、時の流れを超えてもなお、見る人の心に美しい存在感を放ち続けるよう、日々心を込めて取り組んでいます。
Approach
プロジェクトを進めるにおいて、コミュニケーションはとても重要な要素です。私にとってのコミュニケーションとは、言葉を使うことはもちろん、写真を通じて行うことも含まれます。プロジェクトに対するヒアリングと、私なりの解釈や写真表現を通じて信頼関係を築き、最終的には心からお任せいただけるようなパートナーとなることを目指します。
現場では、朝日や夕暮れの特別な光、時間帯によって刻々と変化する影の移り変わりを捉えるために十分な時間をかけます。これは決して多くの枚数を撮るためではなく、建築が持つ豊かな表情と奥行きを引き出すためにほかなりません。何度も同じ空間と向き合い、時間の流れをデザインとして落とし込みます。
写真は、物理的な制約上、美しい要素も不調和な要素も混在していることが多いです。編集では、その美しい要素を抽出し、不調和な要素の存在感を薄めることで、全体として洗練されるように再構築します。また、私が写真で伝えたいことは「建築の美しさ」であり、決して「編集テクニックのすごさ」を自慢するものではありません。徹底的に細部にこだわり、「その場にいるような印象」の表現を、編集されていることに気づかれないように実現することを理想としています。
Process
1. 計画
撮影日をスムーズに進めるために、これらのステップがあります。下記より必要なものを実施し、準備を行います。不要なものは省略し、軽いフットワークでプロジェクトに臨むことを優先することもできます。
ミーティング(対面、WEB)
イメージボードの作成
現場チェック、ロケハン
撮影リストの作成
ロジスティクス関連の調査
緊急対応の計画
機材チェック
アシスタント手配
2. 撮影日
撮影現場に到着し、ウォークスルーを行ったのち撮影を開始します。基本的には太陽の動き(朝日・夕日)に合わせて開始・終了時間を設定しますが、クライアント様の求める水準やご意向によって柔軟に対応します。
当日はできる限り撮影しますが、1枚のカットに60分以上かけることもあります。これは、建築が最も輝く瞬間をとらえるために、家具の移動や、光の状況が完璧になるまで待つといった、細部への徹底的なこだわりによるものです。
また、撮影した写真の一部をご覧いただき、その場で構図や表現についてのご要望を伺いながら、より理想に近い1枚を共に創りあげることも可能です。
3. ポストプロダクション
撮影したデータをすべて集約し、編集に入ります。画像の編集は、撮影プロセスと同等かそれ以上の時間がかかります。通常、最終的な納品までには1週間ほどのお時間を頂戴しております。
必要あれば、編集に入る前に画像を選定いただくことも可能です。何もご指定がなければ私の方で画像選定を行い、念のため多めの枚数を納品していますが、画像選定いただいた場合はその枚数の納品となります。超過した枚数については追加料金を頂戴しております。
編集には、色彩の補正、露出とコントラストの調整、HDR処理、不要な要素の消込み、そして私が最も得意とするPhotoshopによる高度な画像処理を行います。プルーフシートとともに画像データを仮納品し、細かい調整を行いつつ、最終的には高解像度のデータをお渡しし、正式納品としています。